カンヌライオン2010

今年もカンヌライオンが発表されました。このブログを始めたのは昨年の10月なのでブログでは初めての紹介となります。
グランプリは2つ。VOLKSWAGENのTHE FUN THEORYとNIKEのCHALKBOT。エージェンシーはそれぞれDDB STOCKHOLMとWIEDEN+KENNEDY Portlandです。

VWはBlueMotion TechnologyというディーゼルエンジンのCo2を削減する技術を開発しています。従来のエンジン性能を改善しているので車両の新開発コストも削減されるそうです。そのキャンペーンである「The Fun Theory」は楽しみながら世の中をもっと良くしていこうというメッセージ性の強いキャンペーンです。
有名なのは、階段をピアノの鍵盤に見立てて歩くと音が鳴るという仕掛け。これによってエスカレーターよりも階段を使う人が66%も増えたのだとか。
紙や画面を超えて人の行動に対してデザインを施し、インターネットはその媒介としての役割を担っています。
http://thefuntheory.com/


NIKEのCHALKBOTはツールドフランスを応援するキャンペーン。もともとツールドフランスでは、観客が道路に応援メッセージを書いておくという行事があるらしいのですが、それをネットを介して可能にしたキャンペーンです。
観客がツイッターなどからメッセージを送信すると、CHALKBOTという道路にメッセージを描くマシンにデータが送られ、離れた場所からも道路に応援メッセージを書き込めるというものです。そして、書き込まれたメッセージの写真にGPSデータを付け加えてユーザに返信してくれるのだそうです。
インターネットがようやく手段として人々の生活の糧になっていくような、明るい夢を感じさせます。
http://nosharpstuff.com/awardsites/overview/nike/cha/


いずれもインターネットでの広告に対するアプローチの考え方は異なっていますが、技術を使ったリアルな世界でのコミュニケーションを仕掛けたという点で共通しています。さらに単なる営利活動主体ではなく、社会との関係性を強く意識した内容でありつつ、どこかアイデアによる楽しさを感じさせる点が今後の広告活動の新たな方向性を示しているような気がします。

http://www.canneslions.com/work/cyber/